
【注意喚起】IHコンロで非対応の鍋を使うとどうなる?危険性と事故・トラブル事例まとめ
新生活や引っ越しをきっかけに、IHクッキングヒーターのあるお部屋に住み始める方も多いのではないでしょうか。
火を使わないため安全性が高いと思われがちなIHですが、実は使い方や調理器具の選び方を間違えると、火災ややけど、機器の故障につながる危険性があります。
特に注意したいのが、IHに対応していない鍋や、底が変形したフライパンなどの使用です。
今回は、IHコンロで使用してはいけない調理器具や、実際に公的機関から報告されている事故の事例、安全に使用するためのポイントについて解説します。
■ なぜIH非対応の調理器具を使うと危険なのか?
IHクッキングヒーターは、電磁誘導という仕組みを利用し、磁力の働きによって鍋そのものを発熱させる調理器具です。
そのため、IHに対応していない素材や形状の鍋を使用すると、正常に加熱できなかったり、安全装置が正しく働かなかったりする場合があります。
主な危険性
- 鍋を正常に認識できず、加熱できない・加熱が不安定になる
- 鍋底の変形などにより温度センサーが正しく働かない
- 油が異常に過熱し、発煙・発火する
- 鍋が不安定になり、転倒や熱湯によるやけどにつながる
- 不適切な使用によってトッププレートや本体を傷める
特に揚げ物を調理する場合は注意が必要です。IHには温度センサーや過熱防止機能が備わっていますが、鍋の形状や油の量、加熱モードなどによっては正常に機能しないことがあります。
■ 実際に報告されているIHコンロの事故・トラブル
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)などの公的機関では、IHクッキングヒーターの誤った使用による火災や事故について注意喚起を行っています。
実際に公表されている事故や注意事例を紹介します。
【事例1】底が反った鍋で揚げ物をして油が発火
IHコンロで天ぷらを調理していた際、鍋底が反った鍋を使用し、少量の油で加熱したことで油が過熱し、発火した事故が報告されています。
鍋底が変形していると、温度センサーが鍋の温度を正確に検知できない場合があります。その結果、油の温度が上昇し続け、火災につながる危険があります。
鍋底が反っているものや、凹凸のあるものは使用しないようにしましょう。また、揚げ物では必ず指定された油量と専用モードを守ることが大切です。
【事例2】少量の油と誤った加熱方法による火災
IHコンロで揚げ物を調理中、その場を離れたことに加え、指定より少ない油量で調理し、揚げ物専用モードではなく通常の加熱モードを使用したことで、油が過熱して発火した事故が報告されています。
IHは火を使わない調理器具ですが、使い方を誤ると天ぷら油火災が発生することがあります。
揚げ物をするときは、必ず取扱説明書で指定された油量を守り、揚げ物専用モードを使用しましょう。調理中は絶対にその場を離れないことも重要です。
【事例3】IHコンロ上の缶詰などの誤加熱による危険
NITEは、IHコンロのトッププレート上でカセットボンベや缶詰などを誤って加熱すると、破裂するおそれがあると注意喚起しています。
また、IHコンロの上に金属製品などを放置し、誤って電源が入ることで異常に高温になり、火災につながった事故も報告されています。
鍋やフライパン以外の金属製品、缶詰、カセットボンベなどをトッププレートの上に置かないようにしましょう。使用後も周囲に物を放置しないことが大切です。
■ 特に注意したい「使えそうで使えない」調理器具
見た目には問題がなさそうでも、IHでは使用できない調理器具があります。引っ越しなどで新しい住まいに移る際は、以前から使用していた鍋やフライパンがIHに対応しているか確認しましょう。
使用前に確認したい調理器具
- 土鍋・耐熱ガラス・陶磁器(IH対応の表示がないもの)
- アルミ鍋・銅鍋(オールメタル対応機種を除く)
- 鍋底の直径が小さすぎるもの
- 鍋底が反っている、変形しているもの
- 鍋底に大きな凹凸や脚があるもの
- 軽すぎて安定しない小さな鍋
なお、使用できる鍋の材質や大きさはIHの機種によって異なります。アルミや銅などに対応したオールメタル対応機種もあるため、一律に使用不可と判断せず、必ず本体の取扱説明書を確認してください。
■ IHとラジエントヒーターは仕組みが違う?
実は、IHコンロの中には「IHヒーター」と「ラジエントヒーター」という2種類の加熱方式が備わっている製品があります。
見た目は似ていますが、加熱の仕組みが異なります。
IHヒーター
磁力によってIH対応の鍋そのものを発熱させる方式です。使用できる鍋の材質や形状に制限があります。
ラジエントヒーター
内部の電熱線が発熱し、トッププレートを通じて鍋を加熱する方式です。IHとは異なり、鍋自体が磁力で発熱する仕組みではありません。
ラジエントヒーターは鍋を置かなくても発熱するため、トッププレートの上に布巾や紙などの可燃物を置いておくと、発火する危険があります。
ご自宅や賃貸物件に設置されているコンロがどちらの方式なのか、取扱説明書や本体の表示を確認しておきましょう。
■ まとめ:賃貸物件や社宅でも正しい器具選びが大切
IHクッキングヒーターは、正しく使用すれば火を使わずに調理できる便利な設備です。
しかし、非対応の調理器具や変形した鍋を使用したり、誤った方法で加熱したりすると、火災ややけどにつながるだけでなく、賃貸物件に備え付けられているIHコンロ本体を破損させてしまう可能性もあります。
設備の破損や不適切な使用による事故を防ぐためにも、日頃から次のポイントを意識しましょう。
安全にIHを使うための3つのポイント
✓ IH対応の調理器具を選ぶ
購入時にはIH対応の表示やSGマークなどを確認し、機種の取扱説明書に従いましょう。
✓ 鍋底が平らで安定したものを使う
変形した鍋や底に大きな凹凸があるものは使用を避けましょう。
✓ 正しい加熱方法を守る
揚げ物では指定された油量と専用モードを守り、調理中はその場を離れないようにしましょう。
新生活や引っ越しでIHコンロを初めて使用する方はもちろん、以前から使用している方も、今一度お手持ちの調理器具を確認してみてください。
ちょっとした確認が、火災や事故、設備の故障を防ぐことにつながります。
安全で快適な自炊生活のために、正しい使い方を心がけましょう。
【参考資料・出典】
- NITE:IH調理器「凹んだ鍋で発火」
- NITE:製品安全教育DVDハンドブック(IHこんろの事故)
- NITE:電子レンジ、IHこんろの事故(2025年10月14日)
- 東京都:誤った使用方法によるIHクッキングヒーターの事故に注意(2023年3月10日)
※事故防止のため、実際の使用にあたっては各製品の取扱説明書をご確認ください。