
【実務の謎】技能実習生の家賃、なぜ「2.5万円」が上限と言われるのか?
【実務の謎】技能実習生の家賃、なぜ「2.5万円」が上限と言われるのか?
技能実習生の受け入れを検討している企業様や、既に受け入れている担当者様から、こんな質問をよくいただきます。
「実習生の家賃、いくらまで徴収していいんですか?」
「監理団体から『2.5万円くらいにして』と言われたけど、根拠は?」
実は、法律のどこを探しても「2.5万円」という数字は出てきません。それなのに、なぜこの数字が「絶対的な目安」として定着しているのか。不動産のプロの視点から、その裏側を解説します。
1. 法律上のルールは「実費」が原則
まず、前提となる法律(技能実習法)のルールをおさらいしましょう。
● 利益を出してはいけない
会社がアパートを借りて実習生に貸す場合、徴収できるのは「実際に支払っている家賃・共益費」を人数で割った金額までです。
例:家賃6万円の部屋に3人で住むなら、1人あたり2万円。
【NG例】1人から3万円取って、会社が毎月3万円儲ける。
これは「不当な中間搾取」として厳しく罰せられます。
2. なぜ「2.5万円」という数字が歩き出したのか?
法律が「実費」なら、高い家賃の部屋なら3万円や4万円取ってもいいはずですよね。しかし、現場で「2.5万円」が死守されるのには、3つの切実な理由があります。
① 「手取り額」のデッドライン
技能実習生の給与は、多くの場合、地域の最低賃金に基づいています。
- 額面:16万円〜18万円
- そこから社会保険、税金が引かれ……
- さらに「家賃・光熱費」が引かれます。
ここで家賃を高く設定しすぎると、実習生の手取りが10万円を切ってしまう事態に。これでは実習生が生活できず、最悪の場合、より高い賃金を求めて「失踪」するリスクが急増します。
② 技能実習機構(OTIT)の厳しいチェック
実習計画を認定する際、機構は「実習生が適正な生活を送れるか」を審査します。一般的に、家賃・光熱費などの控除額が給与の2割〜2.5割(約3.5万円〜4万円)を超えてくると、「生活を圧迫している」とみなされ、修正指導が入るケースが多発します。
「家賃2.5万 + 光熱費1万 = 3.5万円」
↑これが審査を通るための安全圏(セーフティゾーン)なのです。
③ 近隣相場とのバランス
20年前なら「1万円」という時代もありましたが、現在の物価や家賃相場を考えると、会社側も「2万円〜2.5万円」もらわないと、管理維持費や設備投資(家具家電)のコストが回収できません。
「会社も赤字になりすぎず、実習生も無理なく払える」という絶妙な落とし所が、この「2.5万円」なのです。
3. もし実際の家賃が2.5万円を超えてしまったら?
都市部などで、どうしても2.5万円では収まらない場合はどうすればいいでしょうか?
家賃を実費通り徴収する代わりに、会社から「住宅手当」を支給し、本人の実質負担を2.5万円以下に抑える。
差額は会社が負担し、求人時の「福利厚生の充実」としてアピール材料にする(これにより、優秀な人材が集まりやすくなります)。