外国人を雇用する上で、宗教的な配慮は欠かせません。
しかし日本人にとってはなじみの薄いルールが多いので、雇い入れの際は信仰を阻害しないための工夫が必要です。
そこで外国人を雇用するときに知っておくべき、戒律や配慮の方法を解説します。
外国人雇用における宗教の配慮に欠かせない戒律とは
戒律とは、宗教における生活規律を示したものです。
外国人雇用の上で知っておきたい戒律には、主に以下のものが考えられます。
・禁止されている食材
・礼拝活動
・禁止されている行為
そこで代表的な宗教における、配慮に関係する戒律を確認していきましょう。
<イスラム教の戒律>
世界人口の1/3を占めるイスラム教では、豚や血(血液のついた食べ物)・アルコールを禁じています。
また1日5回の礼拝があるので、就業時間と重なることが多いでしょう。
さらに女性のヒジャブ(頭髪や首を隠すスカーフ)など、服装に関する規定もあります。
<ヒンドゥー教の戒律>
ネパールやインドに多いヒンドゥー教は、殺生を避ける傾向にあります。
そのため聖なる動物である牛をはじめ、肉や魚全般を食べないベジタリアンが多い宗教です。
外国人雇用で宗教に配慮するための対応方法
同じ宗教であっても、教義との向き合い方は人によって異なります。
そのため外国人雇用においては、個別の配慮が原則です。
まずは本人の意向を把握した上で、業務内容との調整を行うようにしましょう。
<食事に関する配慮方法>
食事の配慮で盲点となりやすいのが、禁止食材が含まれる調味料です。
たとえばイスラム教では、保存料としてアルコール成分が添加されている醤油などは使用できません。
そこでイスラム教の作法を守った、ハラル対応のメニューを提供しましょう。
またヒンドゥー教に対しては、ベジタリアン対応などの工夫が必要です。
<休憩時間や休暇を配慮する>
礼拝をはじめとする宗教活動が就業時間と重なる場合、スペースの確保や休憩時間の調整が必要です。
宗教活動の時間は無給とするのか、あるいはお昼休憩などと調整するのかは、個別に相談して決定しましょう。
またイスラム教のラマダーン月は、日中の飲食ができません。
その期間は体調管理の面においても、休憩時間の配分を工夫してください。
そして日本がお盆と年末年始に長期休暇を取得するように、国によって長期休暇のタイミングは異なります。
出身国に合わせた休暇設定も、外国人にするべき配慮の1つです。
<日本人向けの研修を行う>
宗教に対する適切な配慮をするためには、一緒に働く日本人従業員の理解が不可欠です。
研修によってその国の文化や風習に対する理解を深めると、日本人と外国人との間の信頼関係も生まれます。
互いに相談できる環境にすれば、外国人も日本人も働きやすい職場になるでしょう。
まとめ
外国人にとっての宗教は、人それぞれ解釈や向き合い方が異なります。
そこで配慮の内容や方法について詳細を詰めるより、臨機応変に対応できる体制が重要です。
外国人クライアントの対応にも役立つので、まずはできることから始めましょう。